Hatena::Groupsubhyon

松原メンバーの過去原稿

2006-12-31

miyurin20061231

名曲で綴る松本零士の世界 22:58

 2006年10月中旬、テレビCMで使用された槇原敬之作詞の歌詞に対し「僕の言葉を奪われた」として漫画家の松本零士が著作権侵害を訴えた。騒動は和解の方向に向かうとみられたがドロ沼化、結局裁判で決着をつけようという事になったらしい。それもそのはず、松本零士といえば「宇宙戦艦ヤマト」の原案者でプロデューサー・西崎義展から権利を奪おうと積極的に法的手段に訴えてきた過去があり、裁判に敗れてもいまだに不服を申し立て権利を主張しつづけている。一方の槇原は覚せい剤取締法違反での逮捕と前事務所社長による事務所運営費横領事件のさいに、弁護士とのパイプが出来ている。

 普通の人間は裁判など、できれば関わらない事を望むと思うが、「裁判に勝つ」という体験をしたものは何度でもその美酒を味わいたいと思うのか、すぐに法廷に持ち込もうとする傾向があるようだ。

特に作家・作曲家など才能で商売している者にとって、勝訴は「形の無いものが法律で守られた」という絶対的安心感をもたらしてくれるものなのかもしれない。

この決着については高見の見物をつづけましょう…という事とさせて貰い、ここからは松本零士の妄想宇宙から産み出された名曲の数々を紹介したい。

「宇宙戦艦ヤマト」の未曾有のヒットにより、各メディアが松本零士の作品を争ってアニメ化した。

ヤマトのキャラクターとメカデザインを担当した松本零士であるが、大手出版社に連載し量産するタイプの作家ではなかったため、作品が少なかった。というか、完結した長編漫画作品など、当時皆無だったのではないだろうか。

仕方なく「主要キャラクターとメカ、そして原案」だけを頂き、各アニメ会社が次々と作品を発表していった。

(これらの成功と権利発生が、のちに松本に「ヤマトもオレが考えた」という錯覚を抱かせたのかも知れない)

アニメ番組にはオープニングとエンディングにそれぞれ曲がつくものだが、松本アニメのキャラクターは作品中よく歌をうたったので、「挿入歌」が必要となった。

おなじみの長身・長髪・痩身の切れ長の瞳の女性たちが歌う挿入歌は叙

情的で、通常のアニメソングのような

「フレンダージェット!」(人造人間キャシャーン)や

「オレは涙を流さないダダッダ~!ロボットだから マシンだからダダッダ~!」

(マジンガーZ)

等のバカ明るい歌に飽きていた子供たちの心をがっちりとつかみ、挿入歌ながらそこそこにヒットしたのである。

●やさしくしないで(作詞・中村葉子 作曲・中村泰士)

映画版「銀河鉄道999」で、時間城の魔女・リューズが歌った歌。

f:id:miyurin:20080402225829j:image


♪壊れたおもちゃ箱を子供みたいに抱え込んで

「リューズ」は時間を操ることのできる魔女で、中島みゆき的なキャラで、哀愁をおびギターを弾いて歌う「うらぶれた飲み屋」系の女であった。

歌ったのはかおりくみこというアニメ歌手。

小野木久美子の本名で「なんたって十八才」のヒット曲があったがかおり名義でアニメジャンルに転向、女性キャラクターの挿入歌分野でおおいに活躍した。

「Lはラブリー」「エリカのバラード」「ミーメのエレジー」など歌った曲は多いが、現在のアニメソングコンサートには出ていない。

だが当時はアニメイベントに出場し、この曲も「リューズのテーマ」というタイトルで歌われていた。

好評を受けのちに「やさしくしないで」というタイトルでシングルカット。

私も即ドーナツ版を購入した。

●想い出なみだ色(作詞・山浦弘靖 作曲・平尾昌晃)

f:id:miyurin:20080402225551j:image

「やさしく~」の中ヒットを受け、銀河鉄道999のテレビスペシャルにリューズが登場する事となった。

が!リューズは映画版で死んでしまっているので、苦肉の策として「リューズの妹・レリューズ」というキャラが創造された。

そしてレリューズの声はかおりくみこが担当。新たに「想い出なみだ色」という曲がつくられ、今度は最初からシングル発売された。

(もちろん即購入した)

「やさしく~」のジャケットは、映画の本篇の中でも酒場で歌うリューズの小さなカットだったが、

「想い出~」は描きおろしイラストである。

本篇でもレリューズの登場と、時間城の崩壊とともに朽ちていくシーンで

たっぷりと流れていた。(ほとんどプロモーションアニメである)

♪時の流れに 身をまかせ 小舟のようにさすらうわたし

のちに武内直子著「美少女戦士セーラームーン」に時間を操れる冥王星のセーラー戦士・セーラープルートというキャラが登場するが

このキャラの雰囲気と悲劇的な設定はリューズ・レリューズ姉妹が元ネタとなのではないか?と筆者は踏んでいる。

●太陽は死なない

映画「わが青春のアルカディア」で、松本零士一のオリジナルキャラクター「キャプテンハーロック」の愛した女として登場するマーヤが歌った曲。

パルチザン活動を続けるハーロックを支える地下放送のパーソナリティで、戦士をはげますためギターを抱え歌う。

歌ったのは雪村いずみの娘で当時モデル活動をしていた朝比奈マリアであった。

朝比奈マリアは芸能活動に入る前「ベルサイユのばら」の著者・池田理代子にアシスタントとして弟子入り志願していたが、

「あなたのような美しい人が家に篭って漫画を描いてはいけない」と断られたという。(TV番組のインタビューで池田・朝比奈が登場してこのエピソードを披露していた)

その後、朝比奈は二科展にも入賞するほどの絵の腕前も披露するが、現在はそーか学会関連の活動に心血を注いでいるらしい。

(どっちにしてもイケダ先生を崇拝しているのか)

太陽は死なない

作詞 山川啓介 作曲平尾昌晃

♪夜が続いても 太陽は死なない


絵の場面と曲からは、ヨーロッパ内戦時代の雰囲気を感じる。

これも、松本零士の作品世界を表現した名曲であったが、「わが青春のアルカディア」は松本零士ブームが終わったあと企画された

作品だったので、映画も曲も「999」ほどのヒットはできなかった。

が、ブーム時につくられた作品の曲を集めた「松本零士の世界」という二枚組アルバムが日本コロムビアから発売され、

CDでもリバイバルされているので、珠玉の名曲をおたのしみ頂きたい。





(初出『サブカル評論』第11号2006年12月)

AzizAziz2012/04/10 22:09That's a posting full of iinsght!