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松原メンバーの過去原稿

2005-03-21「嵐が丘」の空に・・・。

 04年9月12日の夜、テレビ東京をつけていると「音の葉」という番組が始まった。

これは、各界著名人が「私のとっておきの一曲」を解説するミニ番組で、その回は漫画家中尊寺ゆつこが登場した。

 「オヤジギャル」として大ブレイクたまんがのキャラクター広告などで目にしていたし、写真の露出も頻繁だったので、中尊寺ゆつこがどんな顔なのかという見当はついているつもりでいた。

しかし、その放送での中尊寺ゆつこはあまりにも美しかった。

はつらつとした若さでもなく、フェロモンを放つ色香でもなく、なんというか、何かを超越した、オーラに満ち溢れた美しさなのである。

まるで「指輪物語」のエルフ族のようであった。

同性の美貌・才能を見て、私はまず深く感心し、羨望し、すぐあとに自己を奮い立たせた。(年齢を重ねても美しい人はいるじゃないか、諦メルナ、ガンバレ修行セヨと思考が沸騰してくるのだった)

 さて、この日取り上げられた曲は、七十年代に活躍したイギリス人歌手ケイト・ブッシュの「嵐が丘」であった。

この曲は、日本テレビの人気番組、「恋のから騒ぎ」のテーマソングである。

私はまたまた驚いた。

エキセントリック女性ヴォーカルに、旧き佳き時代のようなロマンチックな曲調。

私はこの曲の事を、ディズニー映画主題歌の類だと思っていたのである。

昔、可動するとカタカタうるさい8ミリ映写機のディズニーシリーズで、「シンデレラ」や「白雪姫」「不思議な国のアリス」をみると締めくくりには必ず、こんな感じの曲が歌われていたのだ。



いや、番組でも、「シンデレラ城」を模したミニチュアをバックにかけていたのだから、そっち系音楽として誤解していたのでは?とも思ったが、当時の大ヒット曲だそうだから、そんな認識違いをしているとは考えにくい。

から騒ぎ」に出演する、ひと筋縄ではいかない女性達のテーマ・ソングとして、「一見かわいいが、デイズニーのような安全な女ではない」という意味を持たせたのだろうか。

 それはともかく、少女期の中尊寺ゆつこは、ケイト・ブッシュに夢中になったそうだ。ファッションセンスを磨き少女モデルとして活躍、その後、まんがで自己表現するようになったのも、作詞作曲活動をするケイトに影響を受けたという。

「嵐が丘」の古びたレコードジャケットを手にした中尊寺ゆつこ

すべてのスタートケイト・ブッシュだった・・・というところで、番組は終了した。

年が開けて二月一日、ヤフーニュースを見てぶっとんだ。

1月31日に、中尊寺ゆつこが急逝したというのである。

詳しい情報はまだ入っていなかった。

私はすぐに、「アマゾン」のHPに行き、「ケイト・ブッシュ」と入力検索。

訃報から1分もしないうちに、「嵐が丘」が収録されたCD天使小悪魔」(原題:THE KICK INSIDE)をワンクリックで購入した。

78年に発表されたという「天使小悪魔」は、当時19歳だったケイト・ブッシュデビューアルバムであった。(CDは98年に復刻されたもの)

帯のコピーには「全世界が息をのんだ、類まれな才能と美貌」とある。

全編エキセントリックであり、グラム・ロック的で、「空への飛翔」「錬金術」などの表現を用いてセックスの快楽を歌っているような作品群である。

七十年代に日本で活躍した女性シンガー谷山浩子久保田早紀の曲の中にも「これ、元ネタケイト・ブッシュなのでは・・・」と思えるものがあった。

そして「嵐が丘」は、エミリ・ブロンテの同名の小説モチーフに書かれた作品だという事であった。

から騒ぎ」の歌の内容は、墓地から恋人を呼ぶキャシーの心だったのである。

長いこと 独りで夜をさまよっていたの でも あの人のいる世界に戻るのよ

あの嵐が丘 私の嵐が丘 ああ お願いよ あなたの魂をつかみたいの

ここまで読んでライナーノーツを閉じた。

うええん怖いよ。鬼籍となった作家の魂に導かれて聴こうとしている曲が、黄泉の国からのメッセージだなんて。怖すぎるよお。

なんて、怖さを紛らわせるため、笑いながらCDプレイヤーセットしてみる。

ケイト・ブッシュの歌声は爽快で、嵐が丘の上空を飛び、自由を謳歌する魂を表現していて怖くはなかった。



中尊寺ゆつこさん、嵐が丘でやすらかに。

(初出『サブカル評論』第7号2005年3月)

お譲だん [VHS]

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天使と小悪魔

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2004-08-15萬斉『陰陽師』の結界には…

増えている、また増えている。

「オンナは不要だ」という思想が、水面下で増え続けている…。

これは被害妄想ではない。

そしてこの思想は男からではなく、女達の中から噴出しているのだ。


と、危機感いっぱいに書き出してみました。

みなさんお元気ですかー。

私は、松原美由樹と申すサブカル好きです。

今回は「オンナについて」との事で、最近目にした「映画のなかの女排除文法」について、フェミニズム的見地ではなく、ジェンダーレス的見地で書かせて頂きたいと思います。

2004年8月8日WOWOW日本初の民間衛星放送会社株式会社WOWOW)で、映画陰陽師』の第一作・二作が一挙に放送された。

大ヒットの記憶も新しい一作目におお~きく関心を持って観た。

WOWOWガイドブックにも「野村萬斎真田広之演技合戦も見もの」などと映画評が書いてあったが、皆、何を見ておるのだ。

評論家は誰も語らなかったが、これは、極上の「女不在映画」なのである。

野村萬斉演じる安部晴明の活躍を描く本作で、ヒロインを演じるのは誰なのかというと、

小泉今日子今井絵里子である。

80年代を代表するアイドル歌手キョンキョン」に、伝説アイドルグループ「スピード」のエリコ、といえば聞こえはいいが、演技棒読み健康優良児的で神秘性ゼロ、現代的な容姿で平安装束が似合わない…と、2人揃ってコスチュームものにまったく向いていないキャラクターである。

案の定、映画の中でヒロイン達にはいいところが用意されていなかった。

『英雄』(HERO)や『グリーンディスティニー』、古くは『チャイニーズゴーストストーリー』など、コスチュームもののジャンルでいまどきヒロインが活躍しないとは。

あの『ロード・オブ・ザ・リング』だって、敵の王にとどめを刺すのは、勇者や騎士ではなくエルウィン姫なのに。

そう、『陰陽師』は女を外に追いやり、男達だけが活躍する映画なのである。

全編を通し様式美を得意とする野村萬斉が、真田広之が、そして美形に造りあげた伊藤英明が闘う。

伊藤演じる源博雅が死ぬと晴明は「もう都に守るべき者がない」と号泣

男が男に擬似恋愛、おなじみ「やおい」文法である。

そこで初めてキョンキョンの見せ場、「私の命を、博雅様にお与え下さい」。

晴明はあっさりと同意する。

活躍しないうえにブス造りなキョンキョンが死に、かわりに「生まれ変わり」エフェクトで一段と美しさを増した英明・博雅が蘇る。

激しい戦闘のさなか、今井絵里子演じる蜜虫もムダ死にし、かくて2人のヒロインは活躍の場がなかったうえに死ななければならない。

(長年、晴明につかえ、少女の姿である蜜虫が死んでも晴明は涙ひとつ流さない。どーなっておるのだ?!)

晴明が張った結界内には、あらた津めて男しか存在しなくなる。

そして、善玉美形チームに負けた元美形の悪役・真田広之はあえない最期を遂げるのであった。

(とはいえ、パート制作をプンプン匂わせたゴジラのような「いったん負け」)

なぜここまで女を排除し、男だけの結界をつくるのか。

それは、『陰陽師』が女性向け映画だから、なのだろう。

美しい女など画面に出さず、美しい男達だけ2時間観ていたいという観客の願望が、「役不足ヒロイン」を誕生させたのである。

その気持ちわからないでもないが、この文法は夢枕獏小説版でも、劇画でもみられない特徴だ。

映画版陰陽師』は、晴明ものとしては異端な男ユートピア作品なのである。

陰陽師 [DVD]

(初出『サブカル評論』第6号 2004年8月)

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2003-12-3003年、サブカル?ニュース川柳

はじめまして。

わたくしは松原美由樹と申すサブカル好きです。

今回は誠に僭越ながら、わたくしの目からみた03年のサブカルニュースについて、川柳テキストでおおくりします~。

テナントの 入らぬビルで 夢仕掛け

バンダイミュージアムオープン



千葉県松戸市に「バンダイミュージアム」がオープンしました。(平成18年に閉館)

メインキャラクターは『ウルトラマン』『美少女戦士セーラームーン』『機動戦士ガンダム』『仮面ライダー』…。

ばらばらやんけ。

玩具の権利持っているってだけで、展示コンセプト無いやんけ!!

館内のショップにはバンダイの商品しかないから、普通おもちゃ屋より品薄だし。

ビル内施設として「ナムコナンジャタウン」を目指しているらしいが、内装など改善の余地アリアリである。

それでも、地元民がちょっと日常を抜け出すのに行くにはちょうど良いかも。

3階の「Msカフェ」(のちに「プリモ・カフェ」に店名変更)など、いい雰囲気である。

ガンダムが 無けりゃお洒落な 店なのに

(「ガンダムカフェオープン

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バンダイミュージアム最上階に

ある「ガンダムカフェ」は、スペースコロニー内のカフェイメージしたスタイリッシュカフェ

しかし呼び物の、「等身大ガンダムの頭」が雰囲気ブチ壊しである。

未成年が酒を注文してがんがん飲んだり、カップルの男が同伴の女性に「ギャン」について語ったりしているぞ!


メニュー一例

ニュータイププレート◆

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手前右の入れ物には、クラムチャウダーが入っています。

クルトンがわりのビスケットは、ちょっと甘めでした。

グリーンアスパラベーコン巻き

ショートパスタトマトソース和え

クレソン、チャンツアイのような香草

サウザンアイランドドレッシングがかかったキャベツ

パン(固かった。全粉粒パンぽい)

チキングリル、マスタードソース塗り

手前左のカップは、コーヒープリンでした(美味)

 注:使用した写真平成18年5月に撮影したものです。

●お子様の 劇場夜は 大人向け

イエローキャブによる『キューティ・ハニー』上演)

そんなミュージアムの地下にオープンしたのはその名も「B-ONEシアター」。

昼間はデパートの屋上よろしく特撮ヒーロー握手会撮影会をやっているのだが、

夜間はグラビアアイドルを擁するプロダクション、「イエローキャブ」のメンバーによる

ショー『キューティハニー』が上演された(ちなみに杮落とし公演であった)

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宣伝が少なかったのか、はたま松戸という立地がキツかったのか、客席はまばら。

私が観た回の客は声優学校の生徒と関係者(声優業界人)、地元商店街のおじさんだけであった。でも内容は…エロかった!

シスター・ジル「さあ、からだをみせろ」

秋夏子「いや…、いや、ハニー、助けて!」

ビシッ!!(ムチで叩かれる)」

夏子「いやっ!(ビジッ)いやああ!」

じ、実演ですぜだんな。

しかもイエロー・キャブの女の子棒読みで、そこがまたエロい

再演なったあかつきには、ぜひまた松戸で!!

さてここからは、バンダイミュージアム以外の話題です。

パンツ見せ 解禁なった 実写版

セーラームーン実写化

美少女戦士セーラームーン(1) [DVD]

美少女戦士セーラームーン(1) [DVD]

美少女戦士セーラームーン』が実写化された。

主演の沢井美優金髪が似合ってよかった。

ミュージカル版では大山アンザが好演だったが、原史奈金髪が似合わずイタかった。

現主演の黒木マリナ容姿演技ともに沢井と比べるなよ、可哀想だから。

ちなみに実写版の「大阪なる」役の河辺千恵子ミュージカル版のマーキュリーである。

実写版のアクションを見たとき、「パンツ、見せすぎ…」という感想を持った。

アニメ放送時に、メイン作画の只野和子や、フィギュアの造詣士達が、上層部から「パンツが見えないように」と厳格に指示されたと言っていたので、実写版は平気でパンツを見せている。

時代は変ったのだなあ。

ちなみにミュージカルの衣装は、スカート下がブルマ状になっていて、アクロバットしてもめくれないのであった。

あらら、サブカルニュースのはずが、ずいぶんと偏ってしまいました。

04年のサブカル界に実り多き事を祈りつつ、またの機会をどうぞよろしく~。

(初出『サブカル評論』第5号、2003年12月 一部改稿)


もの狂ひ、にほんごであそぼ 22:05

生まれてこのかた観たライヴは数々あれど、短くて盛り上がり、大爆笑だったベストワンは、靖国神社夜桜能」での狂言「ふくろう山伏」である。

ふくろうに取り憑かれた弟のために、兄が神通力を持つ山伏を呼んでお払いをしようとするのだが、登場する山伏舞台に現れた瞬間からもう、ヤバイのである。

目がイッちゃってる。

電波系だ。

足を動かしているのに一歩も進んでいない。

こんな怪しい山伏にふくろうが払えるわけもなく、やがては兄や山伏本人までも取り憑かれ、三人三様、ホッホ~!!などとわめきながら舞台で暴れまわる、壮絶な狂言である。 これを見て狂言師とは、なんと特殊な商売であろうかと思ったものだ。

家業を継いで幼いころより熟練の「狂態」をさらし、客がそれを見て喜ぶのである。

 そんな「狂態」の楽しさ(!)を紹介する子供番組が「にほんごであそぼ」(ETV)だ。

にほんごであそぼ 萬斎まんさい [DVD]

最初に見た時には「言葉遊び」を入口として、「ひらがな・カタカナ」「名詞」を覚えていくようなものなのかと思ったが、そうではないのである。

にほんごであそぼ」はことばに親しみ、伝統芸能ごっこで遊ぶことを目的とした番組であるらしい。

にほんごであそぼ」には、祖ともいうべき番組英語であそぼ」がある。この二つを比較すると特徴が浮かびあがるのだが、まず、「英語であそぼ」は、遊ぶためではなく、歌や寸劇を通じて英語を覚えるための番組である。

ここで、「英語~」を全く観ていない方のために

番組に内容について説明しよう。

英語であそぼ FUN FUN Songs ! [DVD]



初代「英語であそぼ」は、登場人物たちの寸劇を通じて英語に親しむという構成だったが、お姉さんに色気がありすぎ、出演する着ぐるみに統一感がなく、英語部分日本語部分住み分け曖昧というどうにも気持ちの悪いものであった。

その後、クロードチアリの娘クリステルと、現在「夢りんりん丸」のメインMCを勤める戸田ダリオバトンタッチクリスは好演したと思うが、やはり番組全体に「日本人が演じる外国」的違和感があったのは否めなかった。

そして、次の「愉快なラプトーン一家」シリーズで、番組は飛躍的な発展・安定を見せる。メインMCは表情豊かな着ぐるみのJ.B.(ジェイ・ビー)アメリカ系のパパ台湾系のママ、混血の少女と、クリーチャーマペット達の世界。(ようするに、セサミ・ストリート文法なのだが)このような設定のなかで英語日本語自然にミックスされ、日本子供たちが番組に馴染めるよう、こどもとバス停やりとりバス停くん」、ギターを持ったエリックが各地で子供と交流を持ってロケをする「Hi!Eric」と、申し分のない構成であった。現在はJ.Bとエリックが中心となった番組となっている。

にほんごであそぼ」では、番組を構成する設定はあるかもしれないが紹介はない。ただいきなり演技が始まる。取り上げられるのは、かるた・落語文学のなかの「意味のない変ないい回し」ばかりである。狂言でもまず見せられるのは、面を使ったれっきとした演目「神鳴」(かみなり)であった。児童文化的見地から見て、神鳴の面は最も幼稚園ぐらいの子供の鑑賞に適さないと思う。

大人が見ても恐いと感じる程の異形で、これは「なまはげ」と同じく戒め用に使用するべきものである。(個人的には「なまはげ」は絶対にトラウマになると思うので反対だが)番組ではそれを、蝶ネクタイストライプスーツをきた野村万斎と子供映像をはさみ込み、この人物が演技していることを強調して、うまく誤魔化している。

「ヒッカ~リ!ガラガラガラガラ

スーツでこれをやられると脱力するが、狂言はこのようにばかばかしいことば遊びの宝庫であり、子供たちに人気の「ややこしや~」は、「間違いの狂言」という新作狂言である。

NHK 「にほんごであそぼ」 ややこしや編

NHK 「にほんごであそぼ」 ややこしや編

では「ややこしや」の次には何が取り上げられるのだろうか。デパートCMでやっていた「千鳥」の「チリチリ~ヤ~チ~リチリ~」もいいし(これもたしか万斎が出演していた)

「でんでんムシムシ!」と絶叫する「蝸牛(かぎゅう)」、きのこになりきってピョコピョコ動く「菌(くさびら)」なども良い。

キャプテン翼」で育った子供Jリーグを志望したように、「にほんごであそぼ」で育った子供

伝統芸能に殺到する日が来るかもしれないぞ。

能・狂言世襲性だから無理でも、落語講談には希望が見いだせるかもしれない!?



(初出『サブカル評論』第5号、2003年12月 )